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2026.08.25
166夜では私は、AI革命は一本のサプライチェーンではなく、巨大な資源エコシステムであると書いた。167夜ではGPU一枚の中だけでも、十数種類の重要金属が使われていることを紹介した。では、そのGPUは最終的にどこへ集まるのか。その答えが、AIデータセンターである。しかし私は最近、データセンターを見る目も少し変わってきた。世間では、「AIが普及する。」「だからデータセンターは無限に増える。」という論調が多い。本当にそうだろうか。私はそうは思わない。
産業革命には必ず熱狂がある。鉄道もそうだった。インターネットもそうだった。太陽光発電もEVもそうだった。そして現在、AIデータセンター建設がその段階にある。世界中で巨大プロジェクトが乱立している。数千億円、時には数兆円規模の投資が行われている。しかし歴史を見ると、設備投資競争は必ずどこかで供給過剰を迎える。現在のボトルネックは、GPUではない。電力でもない。実は投資競争そのものなのである。
巨大IT企業(マグニフィセント・セブン)、即ちAIブームの中心となっている7つの巨大テック企業(Microsoft、Apple、NVIDIA、Alphabet、Meta、Amazon、Tesla)彼らは他社より先にAI能力を確保するため、必要以上の設備を建設している可能性もある。これは過去の半導体産業でも、液晶産業でも、太陽電池でも繰り返された。もちろん、AI需要そのものは今後も増え続けるだろう。しかし、だからといってデータセンターが永久に同じ勢いで増え続けるとは限らない。ここが重要なのである。
GPUは毎年高性能になる。演算効率も改善する。ソフトウェアも賢くなる。冷却技術も進歩する。電源効率も上がる。一つのデータセンターが、数年前の何倍ものAI能力を持つようになる。つまり、同じ仕事を、より少ない電力で行える時代が必ず来る。そのとき始まるのは、建設競争ではなく、効率競争である。どれだけ電気代を下げられるか。どれだけ冷却を効率化できるか。どれだけGPU稼働率を上げられるか。どれだけ余剰設備を減らせるか。AI産業も、やがて普通の装置産業へ近づいていく。
だから私は、銅需要についても一直線には見ていない。確かにAI革命は、銅、変圧器、送電網、冷却設備、レアアース、レアメタル需要を押し上げる。しかし、それは右肩上がり一本ではない。途中には投資の熱狂もあり、調整もあり、淘汰もある。だから価格も上下する。資源価格とは、そういうものである。私が四十年以上、資源ビジネスで学んだことがある。需要は増える。しかし価格は一直線には上がらない。供給も増える。技術も進歩する。リサイクルも始まる。代替材料も出てくる。そして再び不足する。資源とは、いつもこの循環を繰り返してきた。AI革命も、例外ではない。
だから私は、AI革命を「半導体革命」とも、「データセンター革命」とも呼ばない。AI資源エコシステム革命と呼びたい。そこではGPUも、データセンターも、電力も、冷却も、銅も、レアアースも、レアメタルも、互いに影響し合いながら進化していく。そして、その循環の中で、新たな技術が資源需要を変え、資源制約が技術革新を促す。そして「AIインフラは、やがて最適化される」。つまり、AI革命=需要爆発ではなく、需要爆発→投資競争→過剰投資→効率化→淘汰という歴史を予見している。これこそが、AI時代の本質なのではないだろうか。