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2025.04.03

レアメタル千夜一夜 第29夜 海洋資源開発の是々非々

 日本は世界第6位の領海・排他的経済水域(EEZ)を持つ国で、この海域には鉱物資源が存在していると見られています。これらの海洋鉱物資源には、海底熱水鉱床、コバルトリッチクラスト、マンガン団塊、レアアース泥などがあり、それぞれに含まれる金属や存在する水深が異なるため、特殊な技術開発が必要とされています。


 その中でも特に注目されているのが、南鳥島沖の深海6,000メートルに広がるレアアース泥の開発です。これは世界最大級のレアアース資源とされ、日本にとって大きな期待を寄せられています。


 しかし、この深海6,000メートルの環境での資源採掘は、非常に技術的な困難を伴います。必要とされる設備や採掘技術は未だ確立されておらず、実際に資源を引き上げて商業利用するのは容易ではありません。


 最近のニュースでは、海洋資源開発の大手企業とJAMSTECらが南鳥島沖レアアース泥の試掘調査を計画していると報じられています。しかし、実際の生産にまで至るには、なお多くの課題を克服する必要があるのが現状です。


 採掘コストの問題や環境への影響など、様々な面での懸念も指摘されており、単に技術的な側面だけでなく、経済性や持続可能性の観点からも検討が必要とされています。短期的な資源獲得だけでなく、長期的な視点に立った開発計画の立案が重要になってくると考えられます。


 このように、日本周辺の海洋鉱物資源は大きな期待を集めていますが、実用化にはまだ多くの課題が残されている状況です。技術的な進展と並行して、様々な観点から総合的な検討が求められているのが現状といえるでしょう。


 東京大学の加藤教授は、南鳥島のレアアース泥の開発において重要な役割を果たしている研究者の一人です。加藤教授の業績は、レアアース資源の調査や分析、開発技術の確立に関連しており、日本の海洋鉱物資源の開発に向けた研究をリードしてきました。


 加藤教授は、南鳥島周辺の海底に存在するレアアース泥の特性を明らかにし、その経済的な価値を評価するための研究を行っています。彼の研究は、レアアース泥に含まれる希土類元素の種類や量、そしてそれらの物理的・化学的特性を詳細に調査することに重点を置いています。これにより、採掘や製錬に適した最適な技術を模索し、実用化に向けた道筋を探ることを目指しています。


 さらに、加藤教授は、レアアース泥の採掘に関する新たな技術開発にも取り組んでいます。深海環境での採掘は非常に難易度が高いため、効率的かつ環境に配慮した方法を確立することが求められます。加藤教授の研究では、これらの課題に対するソリューションを提供するための技術的アプローチや実験が行われています。


 また、加藤教授は、研究成果を国内外の学会やシンポジウムで発表し、海洋鉱物資源の重要性やその開発に向けた取り組みを広く周知する努力も行っています。彼の業績は、日本が持つ海洋資源の潜在能力を引き出し、持続可能な資源開発を進める上での基盤となっています。


 南鳥島のレアアース泥開発は、地政学的な観点からも注目されており、加藤教授の研究は日本の産業競争力を高めるための重要な要素となることが期待されています。彼の業績は、海洋資源の開発における新たな可能性を切り開くものであり、今後も注目されるべき研究であると言えるでしょう。


 一方では日本の海洋鉱物資源開発をめぐっては、JAMSTECや民間企業などが政府の開発資金や学術支援予算などの公金を獲得しようとしている側面があるように見受けられます。


 具体的に言えば、南鳥島沖のレアアース泥開発では民間企業が政府JOGMECからの支援を得ながら、試掘調査を進めようとしています。しかし、実際の採掘・生産に至るまでには多くの技術的課題が残されており、経済性や環境への影響など、様々な懸念も指摘されています。


 にもかかわらず、関係企業や研究機関は、この開発プロジェクトの実現に向けて、積極的に政府予算の獲得を目論んでいるようです。つまり、技術的実現可能性やビジネスとしての採算性といった本来検討されるべき課題よりも、むしろ公的資金の確保に主眼を置いているとの指摘があります。


 このような姿勢は、真の意味での資源開発に資するものではなく、単なる「公金チューチュー」に過ぎないのではないかと考えられます。企業や研究機関の私益のために、国家予算が無尽蔵に使われているのではないかとの疑念も生じざるを得ません。


 本来、海洋鉱物資源の開発には、長期的な視野と総合的な検討が不可欠です。技術的な課題解決はもちろん、経済的な採算性や環境への影響など、様々な要素を慎重に考慮する必要があります。しかし、今回のレアアース泥開発をめぐる動きは、そうした本来の開発目的から逸脱しているように見受けられます。


 公的資金の適正な使途と、真の意味での資源開発への取り組みが求められているといえるでしょう。確かに学術的な意味はあるが実際の経済合理性からみると実現性が少ないとみるのが実体ではないでしょうか。

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